2009年7月アーカイブ

去る7月10日に福岡市中央区大名でソフトウェアビジネスの勉強会を開催しました。おかげさまで20名の会場も満席となり、大変熱気のある会となりました。

私は、なぜ起業しなければいけないのか、社会のためにビジネスをやるべきだ、というようなことを話しました。あとは受託や新製品開発などについて、ちょろっと簡単に説明をしました。

フライトシステムコンサルティング杉山さんには、提案書の書き方ということで、面白い話をして頂きました。

次回は8月7日の予定です。

遠距離の方はメーリングリスト(ソフトウェアビジネスラボ | Google グループ)だけでもご参加頂ければいいかな、と思います。将来的には東京など他都市でも開催したいなー、と思ってます。よろしくお願いします。
感想リンク:
ソフトウェアビジネスラボ第一回に参加してきたよ - しかじろうがプログラム作るよ!

株式会社ヨセミテさんが、これまでのビジネスを中止して出直しということになった。(オンライフのサービス終了とヨセミテの体制変更について « ヨセミテBlog)

ヨセミテさんは、社会的に意義のあることをITを通じて実現しようということで、闘病記を共有するサービスを提供していた。が、サービス開始後一年を過ぎても、297ユーザーしかいないということで、中止せざるを得なくなったのだろう。

創業者二人は、フォートラベルの創業者と、ミクシィの元取締役という華やかな経歴の持ち主だ。

患者さんにITサービスを提供するという発想も、とても良い考えだと思う。

だが、結果的には失敗だった。

これは一重には、ビジネス面での検討不足・実施不足があるのではないか。よほど運が良くない限り、待っていてもユーザーが来るわけではない。どういうユーザーのどんなニーズを満たして、どのようにアプローチしてユーザーを獲得するか、という検討や実行が足りなかったのではないか。そこをやっていれば、300ユーザーにとどまるということはないだろう。

また、そもそも病気に苦しむ人に闘病記を書くためのスペースを提供して、どのような満たされていないニーズを満たすことができるのか、僕にはよくわからない。闘病記ならブログに書けばよいではないか。闘病記が多数読めることで、患者が幸せになるだろうか?

また、彼らはチームが大きすぎたと言うpost mortemを行っているが、実質的にCEOが二人になってしまったことが問題だったのだろうか。船頭多くして船山に上るということか。きちんとミッションを共有できていれば、個性がぶつかり合っても良い結果が生まれると思うのだが、マネジメントに特化している方が二人いたのは問題だったのかもしれない。

サービスは一人で作るのがいい、という考えには絶対反対だ。Paul Grahamも述べているが、共同創業者がいないスタートアップというのは絶対良くない。僕もいま経営に全力を投入して、モチベーションや自信を維持できているのは、共同創業者がいるからだ。二人でやることで、仕事もはかどるし、考えも浮かぶし、議論もできる。一人が製品開発している間に、もう一人は顧客開発を行うこともできる。また最大の問題はコミットメントだろう。一人でやっていれば止めるのもさぼるのも自由だ。


僕もビジネスプランの一つとして、患者へコミュニティを提供するビジネスを考えたことがある。

それはもっとアナログなアプローチであり、様々な疾患の患者会を運営するビジネスだ。

患者は、病気の情報を必要としているし、また仲間との交流も必要としている。それを実現するのは闘病記ではなく、もっとベタな患者会などの活動だろう。

患者会は、最新の英語論文を翻訳・要約提供したり、医者や製薬会社によるセミナーや勉強会を主催したり、交流会を行ったり、場合によっては政府や製薬会社に陳情したりといった活動を行うことができる。これはオンラインのお便利サービスでは実現できない価値だ。

当たり前だが、ユーザーを集め、意味あるコンテンツを提供していくには費用がかかる。そのために会員から年会費を受け取ったり、製薬会社の協賛を受けたり、政府の補助金を受けたりと、泥臭い、地を這うような努力をして金を集めていくことが必要だろう。


個人的にそのようなビジネスを考えたこともあるので、ヨセミテさんには非常に期待していた。「素晴らしい考えの会社があるなあ」と思っていた。Sonet M3のような独自のニッチを取れるのではないかと思っていた。だから厳しい意見になってしまった。

「一人でウェブサービスを開発」などというが、経営者の使命は「ウェブサービスを開発」することではない。顧客や社会に価値を与える製品・サービスを開発・提供し、広く使って頂くことである。

一人で引きこもってウェブサービスを開発することにどのような社会的意義があるだろうか。

厳しいことを書いてしまったが、ヨセミテさんに期待するがゆえ、またこれから起業する人たちが同じ間違いを犯さないように、との願いゆえである。決してヨセミテさんのチームを批難する意図ではない。どうかご寛恕頂きたい。

津田さんと塚田さんの今後のさらなる活躍に心から期待している。

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